- 相続財産に占める不動産の割合は半分近い
- 遺言書のススメ
- 遺言書の原則と例外
- 自筆証書遺言か公正証書遺言か
- 遺言執行について
- 遺産分割協議
- 行政書士と弁護士…争続は損
- 弁護士に依頼するデメリット!?
- 相続手続
- 法律改正について
相続財産に占める不動産の割合は半分近い
近年減少傾向にあるとはいえ、国税庁の調査によれば日本における相続財産の約半分近くは不動産が占めています。そんな相続不動産について、事前対策をすることなく相続が発生し、さらにその後も必要な対策をすることなく一定の期間が経過すると原則相続不動産(や他の相続財産も)は相続人の共有になります。実はこれが後々のトラブルの種となり、ある日突然芽を吹くことがあるのです。
その理由は共有物についてのルールを定める民法の規定にあります。
①共有不動産を売却する場合
不動産の売却は民法上『変更』扱いとなり、共有者のうち一人でも反対すれば売却をすることはできません。(民法251条)
②共有不動産を普通に使用する場合
それとは反対に共有不動産を普通に使用する場合、例えば住宅なら単に住むという場合、他の共有者が反対しても、たとえ少ししか持ち分がなくても、共有者は一人で全部を使用することができます。つまり、すでに一部の共有者が共有住宅に住んでいる場合、他の共有者が反対しても住み続けることができ、無理やり追い出すことは難しいのです。(民法249条)
いかがですか。上記の2例だけをみてもトラブルの種となる理由が想像できるのではないでしょうか。
遺言書のススメ
あらかじめ相続人のうちの誰か一人に不動産を相続させると遺言書に書いておくだけで、本当にたったそれだけで上記のような相続不動産の共有問題は解決できるのです。それだけではありません。遺言書で誰に何を相続させるかを細かく規定しておけば、原則その内容通りの相続を実現させることができるのです。(例外はこちら)
しかし、遺言書を書いておけば相続での揉め事を全て回避できるかといえばそうではありません。遺言の内容によっては不満を持つ相続人同士で揉める事もあるでしょう。でも、相続財産は遺言者ご自身が築かれた財産です。それを誰にどれだけ相続させるか、遺言書には遺言者ご自身の想いを込めることができるのです。また、遺言書には付言事項(ふげんじこう)といって、何故そのような遺し方をしたのかなどの理由や感謝の想い、生前には照れ臭くて言えなかったことなどをメッセージにして遺すこともできるのです。
遺言書の原則と例外
遺言書を書いておいても遺言書通りの相続が実現しない例外があります。一つは相続人全員の承諾による遺言書の規定とは別の遺産分割です。もう一つは遺留分減殺請求と呼ばれる制度です。兄弟姉妹を除く法定相続人には遺言によっても排除することができない遺留分があり、遺留分を侵害された相続人は遺言等によって財産を取得した人に対して自分の遺留分をよこせと請求することができるのです。
例えば相続人AとBがいて、遺言で「全財産の2,000万円をAに相続させる」と書いた場合、Bの遺留分が500万円だとするとBはAに対し500万円をよこせと請求することができます。
このように、せっかく遺言を書いてもその内容が遺留分を侵害するものであった場合、かえってトラブルの種を植えてしまうことになりますので注意が必要です。
また、相続税についても検討する必要がありますが、その点については別稿に譲ります。
自筆証書遺言か公正証書遺言か
自筆証書遺言 ※法改正により内容の一部が変更されます |
公正証書遺言 |
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開封時に裁判所での検認手続きが必要 ※ | そのまま使える |
保管方法を考えなければならなず紛失のリスクがある ※ | 公証役場が原本を厳重に保管してくれる |
紛失すればそれまで | 紛失しても公証役場で写しを交付してもらえる |
経年劣化や偽造、変造のリスクがある | 劣化や偽造、変造のリスクが極めて低い |
発見されなければ遺言を書いた意味がない | 遺言検索システムを利用すれば遺言の有無が分かる |
特段費用が掛からない | それなりの費用が掛かる |
弊所では以上の理由で公正証書遺言をお勧めしていますが、自筆証書遺言には費用が掛からないというメリットがあります。また、自筆証書遺言には書き方などの法的要件をクリアしないと無効になってしまうリスクはありますが、まずはそんな難しいことは考えず、一度自由に遺言を書いてみられることをお勧めします。きっとご自身の想いを整理するいい機会になると思います。
そして専門的なことはぜひ私たち専門家にお任せください。
弊所では代表行政書士が遺言者様の想いを実現する遺言書作成のお手伝いをさせていただきます。
遺言執行について
故人様が遺言書を残されていれば原則遺言の内容に沿って遺産の分配が決まります。しかし、当然ですが遺産が自ら相続人のもとにやって来る訳ではありません。遺産を現実に相続人のものとするためには各種の手続きが必要です。また、それに伴い行政手続きなどが必要となる場合もあります。そのような手続きを担当し相続の内容を実現させる役割を担うのが遺言執行者です。遺言執行者は予め遺言で指定する事ができ、そうしておくことでスムーズな遺言執行者就任が可能となります。その遺言執行者については相続人の中から選ぶこともできますが、公平公正を期して私たちのような第三者の専門家が就任する事も多いのです。また、遺言執行は平日の手続きが多いだけではなく、就任時の通知や財産目録の作成をはじめ専門的で煩わしい手続も多いため決して片手間にできるものではありません。
弊所では遺言執行や執行者就任に関するご相談も承ります。初回相談は無料ですのでどうぞお気軽にご相談ください。
遺産分割協議
故人様が有効な遺言を遺しておられない場合、遺産は原則一旦相続人の共有財産となります。預貯金は名義人の死亡により凍結されてしまい、遺産分割協議が確定するまでは金融機関は出金を認めてくれません。不動産の場合は法定相続割合で共有する場合は別ですが(共有はトラブルの種となるのでお勧めしません)、遺産分割協議が確定しなければ登記をすることはできません。また、不動産は預貯金と違って大幅な相続税軽減措置が適用できるケースもあり、分割協議においては、誰がどの不動産を相続するのか、場合によっては物理的に分割した方がよいかなども検討する必要があります。さらに、配偶者と子が相続人となる場合は次の相続での相続税対策を検討しておいた方がよいケースもあります。そんな遺産分割協議は早めの確定が肝心です。相続税の軽減措置を受けるには期限があり協議が長引くと軽減措置を受けられないリスクがあるからです。
行政書士と弁護士…争続は損
このように遺産分割協議ではたくさんの検討事項をスピーディーに確定させる必要があります。そのためにはよく言われるように相続を争続にしないことです。遺産分割の争いは親族間の争いでもあるためドロ沼の裁判沙汰となることもしばしば。誰しも身内同士で争いたくはないが「親の面倒をみてきたのは誰か」、「家や家業を守ってきたは誰か」などの思いが遺産分割協議時に噴出し「法定相続通りでは納得いかない」などの主張を誘発してしまう傾向があります。そうなれば協議は争いへと進展するでしょう。争いになれば我々行政書士は関与することはできず、弁護士にお願いすることになります。弁護士なら分かってくれるはず、優秀な裁判官なら私の主張を認めてくれるはずと思われる方が多いと思いますが、裁判所での遺産分割審判で『特別受益』や『寄与分』と呼ばれる相続人間の事情や主張が認められるのはとても難しいのです。なぜなら遺産分割審判はそもそも法定相続分にしたがった分割を目指す場だからです。
高いコストと時間をかけた骨肉の争い末に残ったのは法定相続分と親族間の断絶だけ。「こんな結末になるんなら争わずに譲歩してでも協議の段階で結論を出しておくべきだった」と思っても時間は巻き戻せません。
行政書士は、争わないように解決することを目指す専門家(予防法務の専門家)です。弊所は、特定の相続人の代理人として遺産分割協議に参加することはありません。協議をするのはあくまで相続人ご自身です。弊所は協議全体のサポート役としてスムーズでスピーディーな遺産分割協議の終結および遺産分割協議書作成を目指します。初回相談は無料ですのでどうぞお気軽にご相談ください。
弁護士に依頼するデメリット!?
弁護士は言わずと知れた法律系専門職の頂点であり、行政書士や司法書士ができる業務は弁護士なら原則すべて行うことができます。そんなオールマイティな弁護士ですが、実は弁護士にもできないことがあります。弁護士は弁護士会が定める弁護士職務基本規程に服さなければならないのですが、そこにはこんな規定があります。
『依頼者の利益と他の依頼者の利益が相反する事件や、同一の事件の複数依頼者相互間に利害の対立が生じるおそれがある事件は原則取り扱ってはならない(要旨)』というものです。具体例で言うと、弁護士は相続人である長男と次男の双方から「双方にとってベストな形で遺産分割協議を取りまとめて欲しい」という依頼を受けることはできないということです。なぜかと言いますと、弁護士は依頼者の利益を追求することが使命だからです。このケースでは、長男の取り分が増えれば次男は減り、次男が増えれば長男は減るという関係ですのでどちらかのみの利益を追求することができません。ですので、弁護士はこのようなケースでは、原則どちらか一方からしか依頼を受けることができないのです。
さらにもうひとつ、協議の初期、これから親族で話し合いという時にいきなり相続人の一人が弁護士を連れてきたら他の相続人はどう思うでしょうか。
その点、上記の通り行政書士はそもそも特定の相続人の代理人として他の相続人と交渉をすることはありません。弊所は、初めの段階で行政書士の立場(役割)を説明したうえでサポート業務に着手いたします。
相続手続
相続手続はとても幅が広くその数は100以上もあると言われています。大手葬祭企業に身を置いていた経験から実感したことがあります。それは、突然訪れる愛する家族との最後の別れ、そして悲しみに浸る間もなく慣れない葬儀、法要や弔問客の対応に追われる毎日。一息つく間もなく次に待っているのは仕事への復帰と膨大な相続手続。しかも相続手続きの多くは平日の日中のため手続きに当たる相続人の方にとっては大きな負担となります。
税金・年金・保険・不動産・自動車・株式などなど。
弊所では、そんな相続手続のあれこれを相続人の方に代わってお手伝いいたします。煩わしい手続きは弊所にお任せいただき、故人様を偲ぶひとときを大切にお過ごしください。
初回相談は無料ですのでどうぞお気軽にご相談ください。
法律改正について
平成30年7月、民法(相続法)改正法案が可決、成立しました。改正法は直ちにではありませんが、内容の多くは1年以内に施行(実際に適用)されることとなりました。それに伴い当ページの記載内容も改正法に合わせ適宜アップデートしてまいります。よろしくお願いします。